実に不思議なもので、長いまつげの奥から魅力的な瞳が何かを語りかけてくると、ついその魔の力にかかってしまいがちです。まつげエクステは、そのような誘惑を可能にするために女性に与えられた魔法ではないかと思いたくなることさえあります。誘惑というのは言い過ぎかも知れませんが、説得力を増すために眼差しの効果というものは馬鹿にできません。まつげエクステは、口以上にものを言う眼差しを、その前で揺れるのれんのように演出しているなかなかのくせ者です。大きくはっきりした目が、あるいはか細くしなやかな目が、考えが定まらずに心揺れる自分の方を向いている。そんな時、決心が揺らいだり、判断力が狂ったりすることさえあり得ます。まつげエクステが相手を魔法にかける小道具だとはいいませんが、それに近い役割さえ果たしうるように思えます。まつげは見えるか見えないかというぐらい細く、目という小さな部分に付属しているものですが、それだけに効果がてきめんなのです。小技という言葉がありますが、イチローを見ていると、投げられるボールにしなやかに体をくねらせて、うまくボールを飛ばしています。打ちたい方向にきちんと飛んでいくように、細かく体を調整して、技を繰り出しているという感じです。まつげの動きも、その神秘性から見ると、同じように思えます。
